気になっていた「三角コーナー」
シンクまわりで、以前から気になっていたものがありました。
三角コーナーです。
友達数人に、
「シンクの三角コーナー、使っている?」
と聞いてみたところ、
「えっ、もう使い捨ての自立式水切り袋を使っているよ」
という答えが返ってきました。
使い捨てなら、生ごみと一緒に袋ごと捨てられます。三角コーナーを洗う手間もありません。
母がいなくなってから、父の役割になったシンク
わが家では、母が亡くなってから、いつの間にかシンクの掃除が父の役割になっていました。
母が存命中は、台所まわりはすべて母が取り仕切っていました。母が亡くなったあと、新たに仏壇を迎え、そこにご飯をお供えすることが日課になりました。それまでは、神棚にご飯をお供えするだけだったのです。
神棚と仏壇の分をまとめて用意したり、炊飯器に余ったご飯を私がラップに包んで冷凍したりはします。けれど、炊飯器の釜を洗うといった洗い物は、ほぼ父の役目になりました。
その中でも特に手間がかかっていたのが、三角コーナーの手入れです。作業はこんなふうでした。
三角コーナーの生ごみを捨てる
↓
シンクを洗う
↓
三角コーナーも洗う
↓
新しいネットを取り付ける
毎日、これだけの手順が必要です。
使い捨てなら、これだけで済む
自立式水切り袋に変えれば、袋ごと捨てて、新しいものを置くだけ。
三角コーナーは毎日洗わないといけませんし、濡れたまま置いておくと衛生面も気になります。私としては、すぐにでも変えたいところでした。
すぐに変えたい、でも父のやり方を無視したくない
ただ、長年続けてきた父のやり方を、いきなり変えてしまうのもどうかと思いました。
変えたい気持ちは強かったのです。聞いてみた友達も、みんな自立式水切り袋に切り替えていましたから。
でも、
「長年三角コーナーを使ってきたのに、急に変えたら父が戸惑うだろうな」
「いや、反発されるかもしれない」
そちらの思いのほうが先に立ちました。
では、どうすれば納得してもらえるのか。
「新しいやり方のほうが手間が省ける」——それは事実です。人は面倒なことより、簡単にスッと終わるほうがいい。そう思うはずです。
でも、口で説明しても伝わらないだろうな、と感じました。だから、別の方法を考えました。
「試してみない?」と声をかけてみた
そこで、あるとき父にこう伝えました。
「三角コーナーをやめて、この使い捨ての袋を一度試してみたいんやけど。もし前のほうが使いやすかったら元に戻すから、一度やってみない?」
こうして、まずは試してもらうことにしました。
数日後、変わらぬ様子を見て
数日たっても、父から「前のほうがよかった」という言葉はありません。
洗う手間がなくなって、捨てるだけで済む。実際にやってみれば、こちらのほうが楽なのは、すぐにわかります。
そのまま、今に至っています。
気づいたこと——習慣を変えるときのちょっとしたコツ
このことで気づいたのは、長年続けてきた習慣を変えるときは、口で便利さを説明するよりも、実際に試してもらうほうが伝わりやすい、ということでした。
これは、モノを減らすときにも通じる気がしています。
わが家の断捨離では、父以外のもの——私自身のものや、母が遺したもの——は、わりと容赦なく手放せます。けれど父のものだけは、本人の承諾がなければ動かせません。
前にこんなことがありました。
私が家の中を片付け始めたら、同じタイミングで父が、今は使っていない釣り竿などの釣り道具を不用品引き取り業者に出したのです。
私は父に何も言っていません。ただ、私が片付けている様子を、そばで見ていただけです。
「捨てて」と言われて捨てるのと、自分で「もう要らない」と思って手放すのとでは、まるで違います。だから父のものについては、今も急かさずにいます。愛着があって手放せないものは、そのまま置いておく。それでいいと思っています。
「これからは、このやり方に変える」
と決めてしまうのではなく、
「使いにくかったら元に戻すから、一度試してみない?」
と声をかける。
実際に使ってみて便利だと納得できれば、長年の習慣も自然と変わっていくのかもしれません。
三角コーナーを一つ手放して、家事の手間が一つ減りました。
そして、家族の習慣を変えるときの、ちょっとしたコツにも気づけたのでした。


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